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INTERVIEW

Japanese

2010年09月号掲載

鴉

Member:近野 淳一(Vo&Gt) 一関 卓(Ba) 渡邉 光彦(Dr)

Interviewer:道明 利友

ニューシングル『黒髪ストレンジャー』でバンドとしての新たな境地を拓いた鴉(からす)の、先月号に続くインタビューをお届けしよう。ジャズを彼ら流の解釈で表現したスウィング系のサウンドに、これまでにリリースしてきたどの作品とも趣きが異なる艶っぽい歌詞を綴った、今回の『黒髪ストレンジャー』。その詞世界はもちろん、結成以来変わらずに持ち続ける“激情”の精神が生々しく伝わるカップリングナンバー『夏色』と『無』に込めた心情も、メンバー全員から探ってみた。

-前回のインタビューで、歌詞の話で、“黒髪の謎めいた魅力との出会い”って話をしてくれましたよね。ていう、艶っぽい歌詞は実体験ですか?っていうのは……ありえない質問ですかね(笑)。近野君が“黒髪の魅力”と実際に出会ったのか、なんて。

近野:(笑)いやいや。それは、もう……。実体験と、そこに、自分なりの……。曲がよくなるように、もっとインパクトが出るように、そのあるひとつの部分だけを切り出して色んなものを付け足して、みたいな感じですね。

-こういう経験は少なからずありつつ、みたいな……(笑)。で、それを、ひとつの物語として成り立つように広げていくというか。

近野:そうですね。あとは、例えば……。人間って、盲目的になるほど魅力的なものと出会うと、もうなんともできなくなるんだなっていう。ストーリー性ともうひとつ、そういう思いがメッセージ性みたいな感じとしてあればいいかな、なんて思って。盲目的になってしまうほど魅力的なものって、ある意味、どこまでも謎を秘めてるものだから知りたくもなるけど、もう知らなくてもいいんじゃないかぐらいまでいっちゃうこともあると思うんですよね。その人の性格にもよるとは思うんですけど、謎は謎のままがいいみたいなところで止まったほうがいいものも。

-なるほどね……。例えば、誰かを好きすぎて、深入りしすぎてみたいな。好きっていう気持ちが歪曲して、変な方向に行ってしまうこともあったりするでしょうし。

近野:今のこの謎めいた状態が素敵だ、みたいなところで終わったほうがいいときって、たぶんありますよね。まぁ、だから、良いか悪いかで言ったらあんまり良い感情ではないなと思いつつも……(笑)。それって、人がみんな持ってるほんの一面みたいなもんだろうから、そういうことも歌っていきたいなと思うんですよね。サウンド面だけが新しい方向に色々広がっていっても、それに準じて歌詞も広がっていけてないと、自分たちは本当に広がってるって言えるのかなっていうのはやっぱりあるので。だから、言葉の面でももっと色んなとこまで突っ込んでいきたいです。

-2曲目の「夏色」は、デビュー前のフリーサンプラーにも収録されていた、鴉の中では前からある曲なんですよね。

近野:そうですね。だから、ライヴでもかなりやってきたんで、“ライヴナンバー”的なところがウチらの中ではわりとあるんですけど。で、この曲を作ってた当時は……。最近は、1曲の中に色んな音を入れたいとか、わりとサウンド好きな周期に来てる中で、歌と歌詞があればもういいんじゃないのこれって、みたいな。それさえあれば、あとはビートとかシンプルな演奏が聴いてる人に運んでくれるじゃん、みたいに思ってる時期に作った曲なんです。だから、もう……。“良い歌”が出来たらあとはエイトビートだけで、より人に伝わりやすいキャッチーなものになるんだっていうところから、サウンドを単純にしたことによって疾走感、荒々しさが出たというか。

渡邉:そう。だから……。何もしてません、このドラムは(笑)。