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Japanese

クラムボン

2014年12月号掲載

クラムボン

Writer 石角 友香

2014〜2015年の結成20周年をセルフ・カバーというにはあまりに斬新な視点で再構築した作品などをリリースしてきたクラムボン。次なるリリースは彼らと親交があったり、リスペクトする後輩バンド、逆にメンバーがリスペクトする先輩、様々なジャンル、世代のアーティストがクラムボンをカヴァーした初のトリビュート・アルバムである。90年代後半、音楽シーンに登場し、のちのアーティスト(音楽に限らず)に多大な影響を与えたという意味で、くるりやSUPERCAR、彼らより先輩にあたるが、フィッシュマンズらと同様、その登場の前と後では影響の多寡はあっても、あらゆるバンドの表現の豊かさや挑戦に痕跡を残した大きな存在なのはたしかだ。そしてこのトリビュート・アルバムのタイトル......"Why not clammbon!?(なんでクラムボンじゃなきゃいけないの?)"が意味するところは百聞は一見にしかず、ならぬ"百聞は一聴にしかず"だ。

参加アーティストは曲目順にストレイテナー、蓮沼執太フィル、salyu×salyu、レキシ、ハナレグミ、NONA REEVES、Buffalo Daughter、downy、GREAT3、TOKYO No.1 SOUL SET、HUSKING BEE、青葉市子、Mice Parade(featuring Chancellor)、そして意外にも小室哲哉という豪華14組。

オープニングのストレイテナーはホリエアツシ曰く"開き直ってパワー・ポップに"との解説があるが、彼のファルセット、時に地声とのダブル・ヴォーカルが印象的な「Folklore」、弦や管も含む蓮沼執太フィルによる「ある鼓動」、声のコラージュはまさにsalyu×salyuのままの「アホイ!」。そして4曲目以降はよくぞおのおの自由にカバーしたのにこんなにソウル/ファンク〜ディスコと軽快な流れができたものだなぁとワクワクしてしまう、レキシの「大貧民」、ストリングス隊も入れてスコーンと抜けつつ、なんとも愛しい気持ちになるハナレグミの「華香るあの日〜clommbon loves clammbon ver〜」、ワーナー時代の同期でコンピ『北青山的』のセンスをまるでオリジナルのようにキラキラの80sディスコのアップデート版で届けたNONA REEVESの「SUPER☆STAR」。

そしてエクスペリメンタル・ロックの側面を見せるのは、Buffalo Daughterによる「ロッククライミング〜Let's RoooooockMix〜」。逆に歌い、それを逆回転させたことによってボカロっぽさを出したサイケデリアはBDならではの高等戦術だ。また、変拍子のそれはdownyそのものなのだが、青木ロビンの中性的な声がオリジナルとも呼応するような「5716」、日本のバンドで音響的なるものに誠実に向き合った同志のようなGREAT3は「246」で甘美なエロスを醸し出す。そしてクラムボンのレパートリーで最もポピュラーな「はなれ ばなれ」をオファーされたTOKYO No.1 SOUL SETは、キーをマイナーに転調し、都会の夜にまたたく小さな光のように、でも少し大人な感覚に再構築していて見事だ。

HUSKING BEEは今のバンドの持ち味を活かしつつ、磯部が親近感を抱いた世界観を持つ「海の風景」をカバー。本当の雨の日に録音したと思われる青葉市子の「雨」。限りなく自然物のような歌とクラシック・ギターの一発撮りは美しくも生々しい。『id』でコラボレートしたMice Paradeはキュートな女子ヴォーカルを迎えて、レゲエ〜ダブ的なクリスマス・ソングのような趣きで「ハレルヤ」を。意外性抜群だが、実はミトが相当なTM NETWORK好きということで、両者のファンは納得の人選であろう、小室哲哉による「バイタルサイン」のリミックスが、華やかなエレクトロの躍動感でラストを彩る。

さてクラムボンのメンバーと言えば原田郁子がlivetuneの作品に、ミトがピエール中野のミニ・アルバム『Chaotic Vibes Orchestra』に参加したり、SEBASTIAN Xのミニ・アルバム『イェーイ』の表題曲をプロデュースしたりと気になる活動満載なのだが、こうして各アーティストが120%の本気度で臨んだカバーを聴くと"クラムボンじゃなきゃいけない理由"を次はご本人たちにぜひ証明して頂きたいと思うのだ。

▼リリース情報

V.A.
『Why not clammbon!?~クラムボン・トリビュート』
[日本コロムビア]
COCP-38844 ¥3,000(税別)
2014.12.03 ON SALE
amazon | TOWER RECORDS | HMV

1.「Folklore」 / ストレイテナー
2.「ある鼓動」 / 蓮沼執太フィル
3.「アホイ!」 /salyu × salyu
4.「大貧民(♦♥♣♠)」 / レキシ
5.「華香るある日 ~clommbon loves clammbon ver~」 / ハナレグミ
6.「SUPER☆STAR」 / NONA REEVES
7.「ロッククライミング ~Let's Roooooock Mix~」 / Buffalo Daughter
8.「5716」 / downy
9.「246」 / GREAT3
10.「はなれ ばなれ」 / TOKYO No.1 SOUL SET
11.「海の風景」 / HUSKING BEE
12.「雨」 / 青葉市子
13.「ハレルヤ」 / Mice Parade (featuring Chancellor)
14.「バイタルサイン~Tetsuya Komuro Remix~」 / 小室哲哉

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