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DISC REVIEW

Japanese

Monaural

何にも悩むことなく、無邪気に生きていられる人間はそう多くない。そして、SILYUSは自らを"リアルに音楽があったからこそ生き延びることができた人間"だと言い切る。つらい暗黒時代を経験した彼が生み出す作品には、繊細にして確かな音楽へのピュアな愛情と、ひしひしと伝わってくるような深い意味性を持ったコトバたちが託されているように感じてならない。例えば、表題曲となる「Monaural」に関しては、闇を知るSILYUSが描く葛藤であり、懊悩であり、焦燥感から生まれる光への切望そのものだと言えよう。本来、高い英語力を持つ彼があえて日本語を軸とした歌詞を書いている理由は"自分の感情を伝わりやすい言葉に換えて強くぶつけたい"という想いに端を発しているという。それだけに、今作はとても切実で美しい。(杉江 由紀)