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DISC REVIEW

Overseas

Metz

METZ

『Metz』

Release Date : 2012-10-10
Label : TRAFFIC / SUB POP RECORDS

西村賢太の『苦役列車』を読んだ時、"この感じ、久しぶりだな"と思った。自堕落な主人公と、自堕落な生活。悪意と自嘲。正論より本音を描かんとする覚悟と優しさ。私小説。学生時代に読んでいた太宰や安吾を思い出したりもした。で、このSUB POPのニュー・カマー、METZの1stアルバムを初めて聴いた時の感覚は、そんな『苦役列車』の後読感に近かった。暴力的にノイジーなギター。硬質なビート。喉から血が出そうなほどの咆哮。「Headache」や「Negative Space」といった曲名から感じ取れる内省的な世界観。グランジ。かつてのNIRVANAがそうであったような、本音で世界と渡り合おうとする、あまりに愚かで愛おしい衝動がここにはある。"正しい音"はいらない。"本当の音"を鳴らす新世代グランジの傑作。(天野 史彬)


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II

トロント出身のポスト・パンク・バンドの2ndアルバム。首尾一貫、ローファイな音が鳴り続けるいかにもSUB POPなグランジ・アルバム。NIRVANA以降もグランジのみならずBAND OF HORSESやCSSなど、多様なアーティストを輩出してきたSUB POPの先祖返り的なサウンドで、今時こんなアルバムができるのかとちょっぴり懐かしさすら覚えてしまう。イギリスの鬼才エンジニア/プロデューサーJoe Meekの仕事のような小曲「Zzyzx」に続く爆裂パンク「IOU」、「Landfill」、ラストの「Kicking A Can Of Worms」まで、とにかくやかましくてたまらない音楽が好きな方にはおすすめの1枚。できればデカい音量でかけられるシチュエーションで聴いて欲しい。ヘッドフォンで聴くと耳が悪くなりそうだから!(岡本 貴之)


Metz

西村賢太の『苦役列車』を読んだ時、"この感じ、久しぶりだな"と思った。自堕落な主人公と、自堕落な生活。悪意と自嘲。正論より本音を描かんとする覚悟と優しさ。私小説。学生時代に読んでいた太宰や安吾を思い出したりもした。で、このSUB POPのニュー・カマー、METZの1stアルバムを初めて聴いた時の感覚は、そんな『苦役列車』の後読感に近かった。暴力的にノイジーなギター。硬質なビート。喉から血が出そうなほどの咆哮。「Headache」や「Negative Space」といった曲名から感じ取れる内省的な世界観。グランジ。かつてのNIRVANAがそうであったような、本音で世界と渡り合おうとする、あまりに愚かで愛おしい衝動がここにはある。"正しい音"はいらない。"本当の音"を鳴らす新世代グランジの傑作。(天野 史彬)