SEBASTIAN X 永原真夏の「つれづれなるままに...サファイア！」【第8回】

2013年12月号掲載

もうすぐ2013年もおしまいである。
去年の今頃は、アセンション（マヤ文明が予言した終末系のなんかヤバいやつ）にビビりまくっていた気がする。
今年は濃かった。とにかく濃かった。
バンドでは、初めてのシングル、2年ぶりのフルアルバムをリリースした。
自分たちが主催した野外イベント「TOKYO春告ジャンボリー」もいい感じだったし、リリースツアーも思い出すと胸がグッと熱くなる、人間のパワーとノイズに溢れた、たくましいツアーだった。

と、そんな充実の音楽活動の傍ら、変わった活動もしていた。
わたくし永原真夏は、2013年の春、映画監督デビューしたのである。

マイメンの映像作家、エリザベス宮地という男が主役のドキュメンタリー映画「ミヤジネーション」を作った。
これは、『とあること（これに関しては皆さん各々、検索するなり宮地本人に直接聞くなりしてほしい。私からは言えない......。）で若いうちに世界チャンピオンになった男がアイデンティティとは何か苦悩し、仕事相手であり人生の友である「カメラ」と共に手探りで未来へ歩んでいく』映画である。
事の発端はラフなもので、「普段の撮る・撮られる関係性が逆になったらおもしろいんじゃね？」の一言で即決まった。しかもその時わたしたちは呑気に焼肉を食べていた。

最初は「仕事」についてや「プロになるということ」というテーマの映画になるのかな、と思いきや、撮影が進むにつれ、カメラは宮地の家族に向かっていった。
新年早々宮地の実家（高知県）にお邪魔して撮影しまくった。宮地のご家族は皆様良い人で、いやな顔ひとつせずに迎え入れてくれた。
人の家族に向き合うというのはなかなかないことで、知れば知るほど、どんな家族にもドラマがあるのだと、一家団欒に混じりながら、笑えば笑うほど胸が苦しくなった。
人と生き、人を育て、暮らしていくというのは、ほんとうに大変なことだ。
そうして戦いながら守ってくれていたんだなと、自分の家族を思い出したりもした。

そして撮影から半年以上経ち、先日ようやく宮地のお父様に「ミヤジネーション」の映像を渡すことができた。
人様の、ご家庭の、生活をそのまま映画にしたようなもんだから、渡す時には手が震えた。
まだ感想は聞いていないので、どこか緊張している。

今年の正月は家族サービスしようかな。不良少女だったので、家にもろくに帰らず、迷惑ばかりかけてしまった（しかも現在進行形だ）。
そして撮影から1年経ち、エリザベス宮地はいま、わたしにカメラを向けている。2014年には、またおもしろいことを発表する予定。
どんな作品ができあがるだろう。
来年も、歌って踊って、作りまくる予定。
人生は上々だ。
みなさま、どうぞよろしく！

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