ねごと 蒼山幸子の「訳あり夢通信」【第17回】

ねごと蒼山幸子の「訳あり夢通信」【第17回】

2016年09月号掲載

ねごと

こんにちは、さちこです。
アイスティーの氷はいつも涼しそうでいいなーと思います。

夏真っ盛り、世間はお盆なうということで、
制作&レコーディングづくしのねごとなのです。
先日、ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016でも新曲「アシンメトリ」を聞いてもらったんですが、どうでしたでしょう。

まだいろいろ楽しみに待っていて欲しいのだけど、今回の曲は本当に会心の一撃な、アンセムができたなあと思ってます。

みんなにもっと最高のものを届けたい、と制作し続けてきたこの一年、刺激を受ける機会や気づきがたくさんあったりして、曲を作る上での自分の中のバランスがすごく変化してきたなあと感じてて、そういう意味でも今までで出せなかった部分や、大切にしてきたもの、みたいなのがちゃんと表れた曲になりました。楽しんでもらえる曲になると嬉しいな。

他にも新しいものがばんばん生まれてます。
近いうちにお知らせがあるはずなのです。
もしかしたらこれが掲載される頃には明らかになっているかな。
下半期のねごともよろしくなのですよ。

ということで、今回は最近読んだおすすめ二冊、紹介します。

・西原理恵子「ダーリンは70歳」

漫画家西原さんと、ダーリンの高須院長（あの高須クリニックのです）との、はちゃめちゃな毎日を毎度のすてきタッチで描いてる漫画。
西原さんの作品はいつもキレがよくて、下品で、愛があって、泣けてサイコーなのです。
今回も、え、それ描いていいの？ってことばかり。
特に高須さんがフリーメイソンで、その試験を受けるくだりとか、ほんとにびっくり、おもしろすぎます......。
全部ネタにするんじゃ、という西原さんの気迫と生き方をそのまんま受け止められる高須さん、
50歳と70歳のふたりらしいですが、いい意味でそうとうクレイジーだし、まったく歳を感じさせないし、恋愛のせつなさ、煌めきが伝わってくるのも素敵。
ありのままでいるって、何気ないことだけどとてもむずかしいことだと思うし、強い人しかできないことだと思うんです。
そして、悲しいことや辛かったこと、それをすべてユーモアに昇華できるってほんとにすごい技術だと思う。ギャグ漫画家さんはすごいです。
サイバラ漫画、食わず嫌いで読んだことない方はぜひ一読してみて欲しいです。

・川上未映子「すべて真夜中の恋人たち」

冒頭からの光の描写に惹かれて読みました。
全体的に暗さはあるのだけど、繊細な描写がうまくて、フラッシュバックしてくる場面がたくさんある本でした。
お話は、日本酒を水筒にいれて持ち歩かないと人とも喋れないくらい内向的な冬子さんが、ある日物理の先生だという三束（みつつか）さんという58歳の男のひとに出会い、恋をしていく話なのですが、いろんな意味でぎりぎりのふたりなのでとにかく切ない。
「触れているということは、これ以上近づけない距離を同時に示していることになる」という三束さんの言葉がとても印象的。
ほんとうに好きなひとって、付き合えても、そばにいても、お茶を飲んでても、歯を磨いていても、一挙一動がせつないものだと思う。
読み終わった後は心がじんとあったかく静まる一冊でした、眠れない真夜中のお供におすすめです。

最後に。祖母のお墓参りをしに実家に帰省したら、昔のねごとグッズが出てきました。
この頃はわたしがデザインを描いてたのですが我ながらへろへろの絵だなあと思いました。